Vol.9
昨秋、日本初の子牛(素牛)ブランドが誕生しました。その名も「八重山郷里」。子牛の産地である沖縄八重山地方の繁殖農家(子牛生産者)たちのチャレンジです。
ブランド牛の大元になる子牛にもスポットを当てたい!
「佐賀牛」「松坂牛」「神戸ビーフ」などは皆さんよくご存じのブランド牛ですが、このたび子牛(素牛)にもブランドが登場。その名も「八重山郷里」。沖縄県八重山地方の繁殖農家のグループが「おいしい牛肉づくりは素牛から」というスローガンのもと、安心安全とよりよい子牛(素牛)づくりで産地をアピールしようということで立ち上げた日本初の子牛(素牛)ブランドです。
牛の畜産農家には子牛を育てる繁殖農家と、それをおいしい肉牛に仕上げる肥育農家があります。肥育農家は努力したぶん、ブランド牛という付加価値が付いてくるのですが、繁殖農家はいくら優秀な子牛(素牛)を育てても、無名のまま。産地まで注目にされることはほとんどなかったんです。だから、これは画期的なことなんですよ。
子牛を生産する繁殖農家が年々減少してきています。
温暖な気候の沖縄は、ミネラルたっぷりの牧草が年5回も収穫出来て、リラックス効果で母牛の受胎率も高くて、牛の繁殖にはもってこいの環境にあります。中山牧場も石垣島に繁殖専門の牧場を設けて9年目になりますが、牧場全体でいえば約7割の牛は繁殖農家の子牛(素牛)を買い付けて肥育しているもので、その大半がここ沖縄産なのです。
全国的に見ると規模の小さい繁殖農家の高齢化は年々進み、農家数は減少の一途をたどっています。そういう状況の中、今回のこの「八重山郷里」の取り組みは、私たち肥育農家にとっても明るいニュースとなっています。
畜産農家相互の情報交換でよりよい子牛づくり牛づくりを。
小さい頃から子牛_(素牛)の買い付けに行く父に連れられて八重山通いをしていた私にとって、八重山は第二のふるさと。個人的にも思い入れはありますが、繁殖農家あってこその肥育農家ですから、中山牧場としても「八重山郷里」の取り組みをしっかりサポートしていきたいと思っています。
これまで、買い付けた子牛(素牛)のその後の情報を個人的に伝えていましたが、今後はきちんと、こちらから牛の仕上がり具合の情報を生産者に返して、そこでお互いに意見を出し合うことで、よりよい子牛(素牛)づくり牛づくりにつなげていけたらと思っています。
〈2014年 夏〉
これから私どもも、八重山生まれの子牛が素牛となった商品には、地域ブランドの「佐賀牛」や「佐賀産和牛」と一緒に子牛(素牛)のブランド「八重山郷里」もPRしていきたいとおもっています。今後、全国の飲食店や販売店で「八重山郷里」のマークを見かけたら、「ああ、八重山の繁殖農家が頑張っているんだ」と思い出して下さいね。
「八重山郷里」素牛生産者グループ
東竹西信行リーダー(石垣島)
「八重山郷里」ブランドとは?
「八重山郷里」は、八重山の和牛繁殖農家でつくる八重山郷里生産者グループの子牛ブランド名です。海に囲まれた温暖な気候の八重山では、子牛たちはミネラルたっぷりの牧草をモリモリ食べて育つので、しっかりした胃袋がつくられます。つまり食欲旺盛な体質ということで将来立派な肉牛となる基礎が出来上がっているのです。私たちは、近年優秀な成績を収めている宮崎県や鹿児島県から母牛を導入するなど品種向上にも努めています。そして何より、肥育農家や消費者との安心安全の信頼関係を築くため、子牛一頭ごとに生まれてから出荷するまでの飼料や治療などの履歴を網羅したカルテをつけることを義務付けています。これは肥育する時の有効な情報にもなるのです。
「八重山郷里」素牛生産者グループ
金城信利さん(与那国島)
日本のはじっこだから、前進あるのみです。
私たち繁殖農家は、一般的に子牛を出荷したら通常はそれで終わりだったのですが、でも、売って終わりじゃなくて、そのあとどう育ったのか、どう流通したのかを知ることによって、いい子牛を育てるための工夫や努力が生まれ、頑張る方向性が見えてきます。子牛のブランド化なんてどこもやっていない未知数の取り組みですが、八重山諸島という日本のはじっこにいるからこそ、躊躇することなく新しいチャレンジが出来るんだと思います。とにかく積極的に前進、前進。
「八重山郷里」だから、と言ってもらえるように。
はじめは、「八重山郷里」って何だと思われるかも知れませんが、いつか皆様に「『八重山郷里』だから、味が違うね、美味しいね」と言っていただけるように努力していきたいと思っています。また、「八重山郷里」が、私たちの地元八重山の良さをもっとアピール出来るチャンスになるように頑張りたいと思っています。
Vol.29<2024年 夏> これからもっと、佐賀生まれ、佐賀育ち
Vol.28<2023年 冬> 玄海町の「SDGsの目標7」の取り組み
Vol.27<2023年 夏> 子育て真っ盛りの若手スタッフも増えてきました。
Vol.26<2022年 冬> 通信でお伝えしたいのはありのままの中山牧場です。
Vol.25<2022年 夏> 将来の牛飼いを夢見て、若い夫婦が玄海町にやって来ました。
Vol.24<2021年 冬> 飲食店の元気は、社会の活力です。
Vol.23<2021年 夏> 今春から新たな事業にもチャレンジです!
Vol.22<2020年 冬> 私たちの玄海町にも「地域おこし協力隊員」と「素敵な家族」が来た!!
Vol.21<2020年 夏> 出来ることを一生懸命。
Vol.20<2019年 冬> 私たちは、ブランド和牛である『佐賀牛・佐賀産和牛』を厳選してお届けします。
Vol.19<2019年 夏> 繁殖から肥育まで。牛たちを無事に出荷できるのも地元の協力あってこそ!
Vol.18<2018年 冬> 和牛をおいしく楽しく堪能!
Vol.17<2018年 夏> おかげさまで 中山牧場50周年、食肉販売部門20周年。
Vol.16<2017年 冬> お肉のことを知れば知るほど、選び方や味わい方、たのしみ方がひろがります。
Vol.15<2017年 夏> 唐津・玄海育ちの「佐賀牛」冊子を製作しました。
Vol.14<2016年 冬> 「町のお肉屋さんを目指して!」肉の中山牧場呼子店オープン
Vol.13<2016年 夏> 「ふるさと納税」佐賀牛大変ご好評いただいてます!
Vol.12<2015年 冬> 牛の世話は母ちゃんにおまかせ!だって子育てと一緒やもん。
Vol.11<2015年 夏> 中山牧場の基礎を築いてくれた両親。
Vol.10<2014年 冬> おかげさまで、佐賀牛ブランド30周年。
Vol.9 <2014年 夏> フレー!フレー!「八重山郷里」日本初の子牛ブランド誕生。
Vol.8 <2013年 冬> 中山牧場「ひとりで楽チン!」シリーズ。第一弾完成!
Vol.7 <2013年 夏> 玄海町は修学旅行生の民泊・体験学習を受け入れ中!
Vol.6 <2012年 冬> 「和牛のオリンピック」に佐賀県代表選抜出品されました!
Vol.5 <2012年 夏> 中山牧場を『堪能できる』お店をご紹介します。
Vol.4 <2011年 夏> 石垣島は人も自然も最高! 中山牧場のスタッフ、只今奮闘中。
Vol.3 <2010年 冬> 牧場で育てた牛、その中でこれは!という牛をせり落とす。
Vol.2 <2010年 夏> うちの牧場では繁殖も行っているんですよ。
Vol.1 <2009年 冬> 秋の藁寄せは、一年のビッグイベント!