Vol.11
神戸から子牛を仕入れて本格的に畜産農家としてのスタートを切りました。当初は仕入れた子牛を一定期間飼育する牧場が神戸に必要で、母は7歳の姉と5歳の兄を連れて現地へ、3歳の私は父と祖父母と地元で、という家族離れ離れの生活が1年半ほど続きました。幼い子を持つ親としてはかなり辛い決断だったと思いますが、何もかもが試行錯誤の日々でしたから、両親も必死だったのだと思います。
◀昭和49年神戸の牧場にて母ハルヨ
▲久々に神戸から帰ってきた母と。
今でこそ佐賀牛で有名な畜産王国・佐賀ですが当時は牛を飼う農家は数えるほどでした。
今年、中山牧場の創業者であるわが両親がめでたく金婚式を迎えます。農協職員だった2人が職場結婚してまもなく、昭和43年にホルスタイン3頭を手に入れます。今でこそ佐賀牛で知られる畜産県佐賀ですが、当時は食肉用の牛を飼う農家は県内でも数えるほどだったそうです。そんな時代に父はその将来性を見据え、昭和47年には神戸から子牛を導入して本格的に畜産農家としてのスタートを切りました。
2人はまだ若く将来に大きな夢を描いていましたが、素人ゆえに何もかもが試行錯誤の日々。さらに仕事を本格化させた矢先にオイルショックという経済の波にのまれどん底の時代に。でも、そこを何とか持ち前のパワーではねのけ、夢を捨てることなく今の中山牧場の土台を築いてくれました。
▲家族みんなで鳥取県大山まで子牛購入へ
わが家は勉強より家業でしたから、子どもたちは中学生の頃には一人前の仕事人に。
中山家の5人兄弟の中で、兄、私、妹の3人が牧場の仕事を継いでいます。わが家は勉強より家業優先で、みんな学校から帰ると牛飼いの仕事を手伝わされました。とにかくできてもできなくても「おまえがやれ!」という父の強引なやり方には反発も覚えましたが、大人並みに何でもやらされたおかげで、中学時代には農作業用の機械も自在に操れるようになっていました。高校卒業を前にして進路を定められなかった私が、父に言われるままに家業を継ぎ、自然に牧場の仕事にのめり込んでいけたのも、それまでの積み重ねがあってこそでした。
▲牧場の手伝いをしていた幼き日の兄・裕と私です。
中山牧場は3代目たちの登場によって
これから益々パワーアップしてまいります。
おかげさまで中山牧場は佐賀牛農家として県内最大規模にまで大きくなり、沖縄の石垣島に繁殖専用の牧場も設けることができました。食肉販売も多くのお客様からご愛顧をいただいています。ここ上場台地の玄海地区も、父が仲間づくりをして今では県内一の佐賀牛の産地になりました。創業当時から父が思い描いていた夢はこれでほぼ完結しましたが、最近もうひとつ両親を喜ばせたことがあります。大きくなった孫たちが牧場の仕事を継ぐことになったのです。しかもそれぞれが祖父母にも負けない大いなる夢を抱いて。こんな頼もしい3代目たちが加わって中山牧場もさらにパワーアップ。スタッフ共々わが両親が築いたこの牧場を、皆さまの信頼と支持をいただける企業に育てていく努力をこれからも重ねてまいります。どうぞ変わらぬご愛顧をよろしくお願い申し上げます。
〈2015年 夏〉
▲父母であり、中山牧場創業者の中山博信とハルヨです。 仕事も人生も自分を信じて進む事を教えてくれました。
Vol.29<2024年 夏> これからもっと、佐賀生まれ、佐賀育ち
Vol.28<2023年 冬> 玄海町の「SDGsの目標7」の取り組み
Vol.27<2023年 夏> 子育て真っ盛りの若手スタッフも増えてきました。
Vol.26<2022年 冬> 通信でお伝えしたいのはありのままの中山牧場です。
Vol.25<2022年 夏> 将来の牛飼いを夢見て、若い夫婦が玄海町にやって来ました。
Vol.24<2021年 冬> 飲食店の元気は、社会の活力です。
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Vol.22<2020年 冬> 私たちの玄海町にも「地域おこし協力隊員」と「素敵な家族」が来た!!
Vol.21<2020年 夏> 出来ることを一生懸命。
Vol.20<2019年 冬> 私たちは、ブランド和牛である『佐賀牛・佐賀産和牛』を厳選してお届けします。
Vol.19<2019年 夏> 繁殖から肥育まで。牛たちを無事に出荷できるのも地元の協力あってこそ!
Vol.18<2018年 冬> 和牛をおいしく楽しく堪能!
Vol.17<2018年 夏> おかげさまで 中山牧場50周年、食肉販売部門20周年。
Vol.16<2017年 冬> お肉のことを知れば知るほど、選び方や味わい方、たのしみ方がひろがります。
Vol.15<2017年 夏> 唐津・玄海育ちの「佐賀牛」冊子を製作しました。
Vol.14<2016年 冬> 「町のお肉屋さんを目指して!」肉の中山牧場呼子店オープン
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Vol.11<2015年 夏> 中山牧場の基礎を築いてくれた両親。
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